東京とんかつ会議 第43回
祖師ヶ谷大蔵「鈴の家」
「特上ロースカツ定食」2200円
<肉3、衣3、油2、キャベツ2、ソース2、ご飯2、新香3、味噌汁2、特記1点サービス 計20点>
飲食店として、実に気持ちがいい。本日やっているかどうか午前中に電話をかけると、ご主人が抑えた口調で、「おはようございます。鈴の家です。お電話ありがとうございます」と出られた。もうこれだけで店に行きたくなる。
迎えてくれる「いらっしゃいませ」も心が入っている。二人のサービスの女性も気配りが効いている。入ると「カウンター席でいかがでしょうか」と席を奨められ、メニューを渡された。とんかつが揚がる段になるとご主人が、「それではくあんたーのとんかつのお客様、お願いします」とサービスの片に声をかけ、「~でごさいます」と料理名が告げられてから「お待たせいたしまいた」と運ばれる。
キャベツが無くなると、厨房内にいたサービスの片が、すぐに「キャベツお持ちいたしましょうか」と聞いてくる。さ食べ終わりごろに、「お茶は冷たいのもありますがいかがでしょうか」と聞かれ、食べ終わった頃に、お茶の差し替えと楊枝が運ばれる。
お金を払い帰ろうとすると、「どうもありがとうございました。御気をつけてお帰り下さい。またご利用くださいませ」と送られた。
そんな律儀で誠実な人柄が出たとんかつである。キャベツの細切の上に赤と黄色ピーマンの細切りとセルフィユが飾られる。これもまたとんかつ会議上初である。彩の国 埼玉ゴールデンポークを使ったとんかつは、肉がきめ細かく、脂の溶け具合もいい。ほの甘い肉汁が楽しめる。衣は中粗で、中温から高温にして揚げるため、サクッよりカリッとした食感である。しかしその分余熱で火が通り、最後の数切れはやや火が入りすぎてしまうので、もう少し手間で揚げるようにすると、良いように感じられた。その分油を2とした。
糠の香りが香ばしいお新香は、大根、人参、キュウリという構成。味噌汁はキャベツと油揚げ、ソースは二種類、やや甘い。
写真右端に写る丸い揚げ物は蟹コロッケ。昔懐かしい、庶民的なソースが多いカニコロッケである。